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これから始まる旅を、ひと足先に…

京都の山々や聖地を舞台に、多彩な表現と実践を通じて、
受け継がれながら進化する“祈りと儀式”の姿を辿る。

山々と聖地が織りなす風景

音が物語の始まりを告げる
心をひらいて、その瞬間を迎える

街の喧騒や旅の余韻、記憶のかけらを携えて、この場所へ集う。やがて、それらは音の中で静かにほどけていく。法螺貝の響き、笙のやわらかな息吹、そしてヴァイオリンの音色。重なり合う音が人々をひとつの場へと導き、到着を祝福しながら、この旅のはじまりをそっと告げる。

静かなひとときから始まる時間は、夕暮れとともに祝祭へと移り変わる。夕暮れを彩るDJの音楽が空間を満たし始める頃、この集いならではのひとときがゆっくりと動き出す。

夜が深まるにつれ、舞台は京都のさらに奥へ。
路地の先にひっそりと佇む一軒へと足を運ぶ。
ジャズの調べが身体と記憶のあいだを静かに巡る空間で、その一杯に心を傾ける。
バランス、香り、質感、その細部にまで心を配りながら仕立てられた一杯は、季節や土地の個性を映し出す小さな作品。
それぞれのグラスに込められた作り手の美意識が、この夜をより深く、豊かなものへと導いていく。

建仁寺 両足院

禅、茶、そして創造を通して、自分と向き合う時間

両足院は、1358年に創建された建仁寺の塔頭寺院。禅の教えをはじめ、詩歌や茶の湯、芸術文化と深く結びつきながら、その歴史を受け継いできた。

かつては芸術家や文人、職人たちが集う文化交流の場として親しまれ、現在も展覧会や坐禅、茶会などを通して、禅の精神を現代へとつなぐ活動を続けている。

両足院を通して、京都に息づく伝統文化に触れる。
歴史と美意識、そして日々の実践が、今も静かに息づいている。

京料理 木乃婦

懐石が紡ぐ、季節と五感の饗宴

京都の料亭「木乃婦」で味わうのは、料理を通して季節の移ろいや土地の恵みに触れる特別なひととき。
三代目主人・高橋拓児氏のもと、木乃婦は伝統的な懐石の精神を大切に受け継ぎながら、新たな食材の組み合わせや表現にも挑み続けている。

一皿一皿に込められたのは、受け継がれてきた技と創意工夫、そして土地が育む豊かな恵み。伝統と革新が調和する味わいが、五感を満たすひとときを演出。

京都の北、山々に抱かれた大原は、街の喧騒が遠く感じられる場所

ここは里山。人と自然の境界にあり、集落と山々が何世紀にもわたり共生してきた場所。田んぼは秋の名残の日差しを受け止め、農家の軒先には収穫された果実が干されている。かつてこの地の人々は、千年にわたり実りを京都の街へと運び続けてきた。

大原の棚田

音と儀式

収穫を祝う祭りのためにひらかれた場に、人々が集う。音が棚田を吹き抜け、その響きが心と身体に深く届く。大地に根差した民俗音楽が田畑に響き渡り、この土地の記憶を呼び覚ましていく。

村の食卓

村に滞在し、その土地の食を囲む。それは土地の知恵から生まれ、長老たちの手によって受け継がれてきた、質素でありながらかけがえのないご馳走。山々の上に十三夜の月が浮かぶ頃、人と人との出会いが重なり、一日がゆるやかに深まっていく。感謝を捧げる「soko」は、誰にでもひらかれた場。村の人々もゲストもともに集い、大地が冬の眠りにつく前の最後のひとときを分かち合う。

日本庭園に包まれた舞台

森の縁、水と石、緑に囲まれた場所に、自然と調和する舞台が現れる。
庭園と移ろう光に包まれたこの野外空間は、昼と夜で異なる表情を見せる。
日中は静かで瞑想的に、日が沈むとより深く、神秘的な気配を帯びていく。

木々の下では、風景と呼応するようにパフォーマンスが繰り広げられ、音と身体、そして自然がひとつの響きとなる。

ガレージ

実験的な創造性が息づくガレージ

集落の端にあるガレージ。
自然とテクノロジー、古代と未来が交差する実験の場。
光と音が織りなす万華鏡のような空間。
点在するインスタレーションの数々と、ふと現れては消えていくパフォーマンス。
移ろい続ける表現が描き出す、新たな風景。

文化が育んできた豊かな時間に触れる

庭の気配が静かに溶け込む住まいへと足を踏み入れる。そこに現れるのは、藍の布だけで構成された茶室。深い水を思わせる藍色と、光を柔らかく透かす壁。移ろう光はまるで天候のように空間を変化させ、自らと空間との境界を静かに溶かしていく。その傍らには、かつて地球を周回した彫刻品。古寺の古材に天蚕の絹を重ねた台座の上で、静かに時を刻む。宇宙と大地。遠く離れたふたつの視点が、同じ問いの前で交わる。

ACG Villa Kyoto

芸術を通して感性をひらく

OCHILL TeaRoom

茶とともに、静けさを分かち合う

茶とアート、そして瞑想のあいだにひらかれる静かな入口。

禅の思想と日本のウェルビーイングに根ざしたこの空間は、季節とともに表情を変える茶室となる。静けさに身を置き、自らに問いを投げかけ、同じ場に集う人々とひとときを分かち合う。

鞍馬山への巡礼

約2億5千万年前、フィリピン海プレートが北上し、ユーラシアプレートと衝突したことで鞍馬山は生まれた。沈み込まずに地表へと残された地層は、長い時間をかけて押し固められ、この場所に留まり続けてきた。鞍馬山を知ることは、日本列島がどのように形づくられたのかを知ることでもある。
はるか太古の記憶を宿すこの山は、今もなお、その時間の積み重なりを静かに語り続けている。

人々はケーブルカーで杉木立の上へと昇り、山頂の静寂へと向かう。  
そこは、臼井甕男が聖なる木の傍らで21日間の断食を行い、霊気の力を授かったとされる場所。
また、鑑禎上人が白馬に導かれる夢を見て、この山の気配に触れ、その神聖さを悟った場所でもある。そして1250年にわたり、祈りの声が森へと響き続けてきた場所。
幾世代にもわたる祈りは、この山の空気そのものを変え、今なお静かに息づいている。

毎年、この山では火祭りが執り行われる。
巨大な松明が夜の山を巡り、炎は大地を清め、神々を迎える。

山頂では、この旅を結ぶ最後のセレモニーがひらかれる。満月が鞍馬の空に昇り、杉木立を静かに照らす。人々は肩を並べ、初日に思い描いた街へと視線を向ける。その街は今、はるか眼下に広がっている。